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No.1084 ≪決めては経営者の決断≫-2019.10.16

No.1084 ≪決めては経営者の決断≫-2019.10.16 目加田博史

 

経営者は判断することが仕事です。日々判断の連続だと思います。A君の活躍は目覚ましいので役員にするかどうか、社内の活気が落ちているように思うがどうすればモチベーションを高められるか、新商品Bの導入を決めたが値決めや販売チャネルはどうするか、新製品Cを上市できるまでに仕上がったがプロモーションはどうするか、メインバンク以外のD銀行と取引したいがどうするか、与信に不安があるE社と新規取引契約を結ぶべきかどうか、F社から新規事業で合弁の引き合いがあるがどうするか、メインバンクからG社のM&Aの提案があったが受けるべきかどうか等、どれも判断しなければならないことばかりです。

各部門の実務のトップが議論を尽くしても、役員会議でも結論が出ない案件があります。社運を賭けるような、判断次第では将来に禍根を残すような重要な判断が必要な時です。経営陣が議論伯仲して、結論は経営者にゆだねるしかないときがあります。経営者が決断するしかありません。
決断はうまくゆけ「さすが社長、先見の明がありますね」と評価されますが、うまくいかなければ「だから言ったでしょ、この責任はどうするんですか」となります。

最近話題になった武田薬品のシャイアー社買収は、7兆円という日本最大規模で、大ばくちと言われました。しかし、製薬で世界5位のグラクソ・スミスクライン社出身のクリストフ・ウェバー社長は、世界16位の武田薬品の社長に就任し、武田薬品を成長させるには世界で通用する経営が不可欠だと判断し、グローバル化に舵を切り、取締役会を説得し、買収を決断し、株主総会を説得しました。

鍵山秀三郎氏がデトロイト商会から独立してローヤル(イエローハットの前身)の社長だった時、高圧的な条件を押し付けてくるけれど、売上高の6割を占め、しかも現金取引の得意先との取引をやめる決断をしました。理由は、ある厳寒の日のショッピングセンターで社員が店外で寒さをこらえて販売していた時、あまりに不憫に思い、中に入れてくれないかと頼みましたが断られました。取引先とはいえこのような会社と取引をしていれば社員の心がすさむ、一番大事な社員の心がすさんでは会社の将来はないと思ったからだそうです。6割の売上を失ったその後の経営は傾き、借金はかさんで大変な苦労をしましたが、後悔はしなかったそうです。これも経営者の決断です。ローヤルはイエローハットと社名変更し上場を果たしました。

建設会社のA社は、大きな赤字を出したために業績が急速に悪化しました。それまで、友好的だった金融機関は融資を渋り、様々な条件を要求してきました。当然の反応です。業績回復のためには、なんとしても受注をふやさねば資金が回りません。
建設会社の商品は、建築と土木と不動産があります。受注先は、役所(公共工事)と企業や個人(民間工事)があり、受注形態は元請と下請があり、設計事務所の図面を基にする請負工事と自社設計で行う設計施工があります。また、規模が大きくなると数社で取り組むJV(共同事業体)があり、チャンピオン、構成員との割合は5:3:2と決まっています。

受注する上で、一番取り組みやすいのが公共工事です。工事の概要、期間、資格要件、技術難易度、価格規模、条件がすべて公開されているので、営業活動の手間が省けるからです。指名を受けるためには営業活動は必要ですが、一般競争入札はだれでも参加できます。魅力的な案件だと数百社が参加します。
かっては「談合」という業界全体のバランスや会社の状況を踏まえて調整する非常に合理的な仕組みがありましたが、「談合==不正の温床」のキャンペーンで、今はできなくなりました。
30年以上前の公共工事は粗利益率が20%30%と高く、1件受注すると経営が安定したのですが、今では、5%10%と低い割には条件が厳しくなっていますので儲かりません。しかも、安くしすぎて最低金額を下回ると「低入」といって失格になります。落札会社との差が1000円だったいう事例も無数にあります。しかも、工事履行保証保険(ボンド)手数料が必要ですし、支払いは着手金と一定以上の出来高を認めてもらえない限り最終金しか出ません。民間工事は3分割や4分割の出来高請求ができますが、公共工事はそうもいかず資金繰りが厳しいのです。さらに膨大な書類整備と厳しい検査があり、事務量は想像を絶します。

しかし、なかなか受注できない公共工事ですが、なぜか1級の国家資格者は公共工事にこだわります。結果として、待機人材が増え赤字が膨らみます。
A社は、公共工事でとてつもなく大きな赤字を出しました。もともと厳しい案件だった上に、役所都合による工事中断が長引き、見込んでいた追加工事がなくなったのです。工事が中断しても、技術者は常駐が原則で他の工事に転用することはできませんので経費は毎月数百万円単位で出てゆきます。
技術者はいるのに常駐現場で縛られ、売上は上がらないのに、経費だけは出てゆくので、にっちもさっちも行きません。
そこで、A社の社長は、将来を考えると公共工事を受注すべきかすべきでないかを幹部と話し合うのですが、答えは出ません。実務として資金繰りをやらない限りその苦労は伝わりません。経営者が決断するしかないのです。民間工事や下請工事を増やすと技術者のプライドを傷つけ離職を促進してしまいます。それでも、A社の社長は、公共工事を止める決断をしました。その結果、離職する技術者も出てきましたが、決断は揺るぎませんでした。苦境を乗り越え、会社を継続させるのは経営者の決断です。なぜなら、解決できない問題は与えられないのですから。

 
No.1083 ≪災害の時代を生きる≫-2019.10.15

No.1083 ≪災害の時代を生きる≫-2019.10.15 目加田博史

 

1012日~13日にかけて東海・関東・東北地方を縦断し甚大な被害をもたらした過去最強と言われる台風19号で亡くなられた方々のご冥福をお祈りするとともに、被害に遭われた皆様のお見舞いを申し上げます。
一日も早い復旧、復興を心よりお祈り申し上げます。

NHKの調べでは、1015日現在、日本を代表する37の河川で52か所が決壊し、洪水を引き起こしました。また、決壊予備軍といわれる越水が142の河川で確認されました。従来の治水対策では住民の命や財産を守れないことが明らかになりました。
自然環境が明らかに変化してきています。欧州中期予報センター(ECMWF)は2018年の地球の地表気温は平均14.7度で、前の20年間(1981~2000年)の平均より、0.4度高くなっていると報告しています。
また、科学誌Scienceによると、海水温は2014年以降の上昇が激しく、直近の3か年は毎年最高記録を更新しており、温暖化ガスによる熱の93%は海に吸収されている事がわかったそうです。

なるほど、そういえば、時期を問わず大災害になる豪雨や暴風や竜巻がやってくるようになりました。それも、想像を絶する豪雨で、年間雨量の半分が一日で降ることも珍しくなくなりました。
気象庁によると、今回の台風19号は1日に降る雨量で、箱根が922.5mmで、今までの最高記録851.5mmを更新したそうです。最近の夏の最高気温は40度以上になることが普通になり、最低気温も30度以上はニュースにもならなくなりました。

開発が進み森林が消失し、山に水をためる能力が落ちている上に、想像を絶する激しい雨が、今まで以上に長期にわたり降り続くと、土砂崩れのリスクが高まり、ひとたび土石流が発生すると広域にわたり多大な被害をもたらします。また、排水処理の土木インフラが老朽化しており、更新工事が進んでいますが、処理能力を超えた雨量は洪水をもたらします。川が決壊して起こる洪水は外水氾濫といい、決壊も越水もしていないのに起きる洪水を内水氾濫と呼ぶそうです。多摩川が決壊も越水もしていないのに浸水被害が起きた二子多摩川駅周辺の洪水は内水氾濫が疑われています。

また、928日の台風15号の暴風で千葉県の全域で発生した大規模で長期的な停電の原因は暴風による送電線鉄塔及び電柱の倒壊でした。その暴風は、ゴルフ練習場の鉄塔も倒壊させ民家を直撃し大きな被害を出しました。沖縄では風速50m60mは日ごろの経験値がありますので建築物や生活に工夫を凝らしていますが、本土でこのような暴風は経験がありませんので、想像すらできないかもしれません。
さらに、今までは太平洋南方海で生まれた台風の卵が発達して沖縄・先島地方を通過し、勢力を維持しながら九州・四国に上陸し、縦断しながら熱帯低気圧に変わるのが普通の台風でした。北海道に上陸する台風は想像すらできませんでした。それがどうでしょうか。南方海上で発生した台風は発達しながら沖縄に近よらずに関東や北海道に上陸するようになりました。気象庁の会見で語られる言葉に「過去に経験のない災害の恐れがあります」「命を守る行動をとってください」が頻繁に出てくるようになりました。

川が増水して、岸がえぐられ、民家が川に流される映像は、子供のころによく見た記憶はありますが、高度経済成長を成し遂げ、列島改造で天文学的な公共投資がなされ、高度に進化した土木や建築技術で、国土強靭化が図られているにも関わらず、今回の台風19号のように、37の河川の52か所で決壊し、家が流されたり、浸水したりする光景は、日本の将来を危うくします。中でも高齢者は深刻です。生活再建のための借入ができません。2016年の内閣府の「高齢社会白書」によると、65歳以上の高齢者の人口比は27.7%、高齢者のいる世帯は全世帯の内48.4%を占めます。高齢者人口の中で一人暮らしの割合は男性で13%、女性で21%に上り、激増中です。高齢者が今回のような被害に遭った場合、家屋の再建は事実上非常に困難で、こころの休まる場所がなくなってしまいます。

水につかった建築物の復興は、国が土地を買い上げ、防災対策を施し、計画的に都市開発を進め、安価で提供するとか、被害に遭った方々への救済方法も根本的に見直さねばならない時期に来ていると思います。
防災予算を見直すことも重要で、それが新たな産業の創出につながり、四半世紀は持続する成長戦略のエンジンになること間違いなしです。
例えば、1戸3000万円程度の堅牢なマンションタイプの住宅を30万戸建設して、無償で提供しても9兆円です。これを20年間継続して建設しても180兆円です。600万戸の無償住宅は多くの人の老後を明るくするでしょうし、所有者不明の土地を国が借り上げ運用する法律を作れば、もっと有効な土地活用が可能になります。これらの関連インフラ整備に年間5兆円、20年間で100兆円かけても、500兆円です。
常の公共工事の投資効果は経済産業省の1998年の試算によると1.82倍といわれていますが、この場合だと、被災者の雇用対策も含めて5倍以上の波及効果が期待できるのではないでしょうか? そうすると、20年間の累計で2500兆円の消費を増やすことが可能になります。

 
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